「私の知らん街」P.1
- 塾長
- 3月26日
- 読了時間: 2分
更新日:3月29日
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仙台の冬は、寒い。
「うっわ、今日めっちゃ寒ない?」
朝、家を出た瞬間、思わず声が出た。空気がキンッと冷えてて、息が白い。
「そら寒いやろ。仙台やし。」
隣で弟の悠太が呆れた顔で言う。
悠太は中学2年生。制服の上にウルトラライトダウンを着て、両手をポケットに突っ込んでいる。
「ええなぁ、悠太はズボンで。うち、スカートやで? 女子は寒さに強いとかいう謎のルール、誰が決めたん?」
「知らんし、朝から文句言わんといて。」「だって寒いねんもん!」
ブツブツ言いながら、駅へ向かう。
通学時間は片道40分。徒歩と地下鉄を乗り継いで、ようやく学校に着く。めんどい。
でももう慣れた。 学校に着いた瞬間、冷たい空気が校舎の中に入ってくる。
教室に入ると、すぐに暖房の温かさが迎えてくれるけど、その温かさがちょっと気まずく感じる。外で凍えるほど寒かった分、急に温かくなると体がびっくりして、なんだか頭がぼーっとしてくる。
「おはよう。」
同じクラスの友達、さおりが笑顔で声をかけてくる。
「おはよう。今日寒くない?」
「めっちゃ寒いよね。でも、もうすぐ冬休みだし、なんとかなるよ!」
さおりはいつも明るくて、どんなに寒くても、ポジティブに考えられるところがすごいと思う。私も見習わないと。
授業が始まる前に、教室の窓の外を見てみると、すでに雪がちらついている。
冬が本格的に来たんだなと感じる瞬間。外の景色は寒いけど、なんだか落ち着く。雪が降るたびに、ちょっとしたワクワク感が湧いてくるから不思議だ。
でも、午後の帰り道はまた寒いんだろうな…。それに、雪が積もってくると駅までの道も滑りやすくなるから、足元には気をつけないと。
冬の仙台は、寒さだけじゃなくて雪もあって、ちょっと手強いけど、それがまた冬らしくて、どこか愛おしい気もする。
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